大学入試の在り方を議論している文部科学省の有識者会議は、2025年の大学入学共通テストにおける、英語民間試験の活用と記述式問題の導入について「実現は困難」とする提言案を示しました。文部科学省は、この夏にも導入の断念を正式に決定する方針です。
ことしから始まった大学入学共通テストでは当初、入試改革の柱として、英語の民間試験の活用と、国語と数学の記述式問題が導入される予定でしたが、地域格差や経済格差の懸念など制度の不備への指摘が相次ぎ、おととし、いずれも導入が見送られました。
その後、文部科学省は、新たな学習指導要領で学ぶ、今の中学3年生が受験する2025年以降の大学入試の在り方について有識者会議を設け、2つの柱について、改めて共通テストへの導入の可否を検討してきました。
その結果、22日の会議で提言案が示され、この中では、
▼英語の「読む」「書く」「聞く」「話す」の総合的な力の評価に英語民間試験を活用することについては、試験ごとに会場数や受検料、障害のある受験生への配慮が異なる中、地理的、経済的事情などによる格差への対応が不十分な点や、コロナ禍で中止も相次いだ外部の試験に依存することへの課題が指摘されました。
▼記述式問題も、50万人以上が受験する中で公正な採点体制の確保などの課題を克服できないとして、
いずれも「実現は困難と言わざるをえない」と盛り込まれました。
一方、提言案では、各大学の個別試験では、いずれも導入を進めていくべきだとして、推進策の充実も盛り込まれています。
文部科学省は、今回の提言案がまとまりしだい、この夏にも正式に導入の断念を決定する方針で、これにより2025年の大学入学共通テストでは、いずれも導入されない見通しになりました。
(2021年6月22日のNHKニュース記事より抜粋)